ゆれる2006/09/03 14:34

ゆれる
公開されてから見に行きたいと思いつつ、やっと見に行けた「ゆれる」

なかなか感じた事を言葉にするのが難しい。稔と猛の2人(この映画では兄弟)の心の動きが様々な角度から観れて、その対比が心の溝(信頼・愛憎・家族とかに対する)をより一層引き立ててる。そして最後のシーンが僕は好きだ。

人を信じるという事は、本当に信じることができるまでは、ものすご~く大変だと思う。

信じること、信じられること。
裏切ること、裏切られること。
奪うこと、奪われること。
許すこと、許されること。
弟であること、兄であること。

つまりは人であること。不完全だからこそ、この信じ、裏切り、憎しみ、解り合い...といういつも、もやもやとある感情の連鎖。これが僕は生きているということだと思う。

そしてそれを乗り越えられたら「許す」という所に辿り着けるのかも。そうすると信じるとかそういうものではなく、そこにあるがままの穏やかに生きることができるのだろう。

そんな中で、知恵子は掴みどころのない稔と猛の間のもやもやした感情(蟠りかな?)を具現化した存在のように感じられた。二人の感情が合わさり、それが一人の新しい人間として言葉を伝えてくれてる感じ。

あと、一つ一つの台詞がジャブのように効いてくる、キム兄の検察官は面白かった。最初は、検事なのか弁護士なのか分からなくなるようでもあった。事件の真実を追うのって「氷壁」を思い出しました。


ストーリー(公式HPより)
東京で写真家として成功した猛は母の一周忌で久しぶりに帰郷し、実家に残り父親と暮らしている兄の稔、幼なじみの智恵子との3人で近くの渓谷に足をのばすことにする。
懐かしい場所にはしゃぐ稔。
稔のいない所で、猛と一緒に東京へ行くと言い出す智恵子。
だが渓谷にかかった吊り橋から流れの激しい渓流へ、智恵子が落下してしまう。その時そばにいたのは、稔ひとりだった。

事故だったのか、事件なのか。
裁判が始められるが、次第にこれまでとは違う一面を見せるようになる兄を前にして猛の心はゆれていく。
やがて猛が選択した行為は、誰もが思いもよらないことだった──。


原案・脚本・監督:西川 美和
出演:オダギリジョー、香川 照之、伊武 雅刀、真木 よう子