生きものの記録 ― 2006/09/06 22:55
「生きる」に続き、黒澤明監督作品の「生きものの記録」を観た。 大好きな映画になった。 三船敏郎演じる主人公の老人が、水爆というものの恐怖から逃れるためにブラジルへの移住を試み、家族の反対を受け... というストーリー。 セリフの一つ一つや、各シーンに奥の深さを感じる。やっぱり最後のシーンがいろいろな事を想像させてくれて好きだ。(ゴッドファーザーの最後みたい。) 僕は『水爆』とは生きていく上で、人が感じる得体の知れない不安(「死」と言ってもいいのかな?)を表しているものと感じた。 普通?の人は、そんな事あるわけないとか、仕方ないと諦めてしまう。けど、この老人は諦めない。『水爆』を恐れていない。だから逃げるのだと。だが、その逃げ道を絶たれた時、老人は恐怖し、何も出来なくなる。 どちらが正常と言えるのか訴えかけられる。 生きる事に執着したその生き方の方が人間らしいのかもしれない。それに老人はただ家族をみんなを守りたいと思う気持ちがある。家族や周りの人間は自分の事しか考えない。これが普通の人だろう。けど果たしてこれが正常なのか? 人が、生きものが生きるという事、それは命への執着であり、生きるのいう行為そのものが生きものの記録なんだろう。1955年の作品なんだけど、いつの時代にも共通する哲学が盛り込まれている実に感動する作品だった。 監督:黒澤 明 脚本:橋本 忍、小国 英雄、黒澤 明 音楽:早坂 文雄 出演:三船 敏郎、志村 喬、千秋 実、左 卜全、東野 英治郎 |
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