ビル・ヴィオラ: はつゆめ2006/12/23 22:13

Bill Viola
Bill Viola: Hatsu-Yume (First Dream)に行ってきた。

映像作品が、16作品展示されている。どれも独特の世界観で作られて、展示方法も斬新だった。一つ一つの作品が10分~の作品なので、ちゃんとみようと思うとかなりの根気が必要。(僕だけかな?)
基本的にスローモーションの映像が中心なので、作品によっては眠くなってしまうことも....けれども、そこに映し出される映像、音、そして人物の表情はそこではじめて気付くものだ。

《クロッシング》は、火と水で破壊と再生というものを表現している。火は立ち上り、水は降りかかる。重力に対しても火と水は違う動きをするんだな~って思った。
違っていても、その力によって人は浄化され、そしてこの世界は再生・輪廻の繰り返す。《ミレニアムの5天使》も超自然的な映像に、闇と光、死と生といったものを感じた。5つの巨大なスクリーンの各々の色とその配置によって創り出される空間が素晴らしかった~。
《驚く者の五重奏》や《静かな山》では人間の感情が豊かに表現されていて、見終わった時には、やはり心の浄化のといったもので作品のつながりを感じた。(なんか乱文になってしまったかな...)

最初に書いたんだけど、動きが少なく見えるんだけど、そこに表現しようとしたものはその方法でしか表現できないものなんだと思う。全体の作品を通して感じたものは、破壊・怒りといった負(と言っていいのかわからないけど) のエネルギーを感じるんだけど、最終的にはそこから解き放たれる。

作品を眺めている自分の表情はどのように変化し、それは他者にどのように受け止められるのだろうか...

年明けまでやってますので、ビル・ヴィオラの世界に触れてみてはどうですか?

作品のいくつかをご紹介。

《クロッシング, The Crossing(1996)》
会場に入ると闇。かなり広い空間の真ん中に巨大なスクリーンが一つ。インパクトあります。実はスクリーンは両面で、異なる映像が映し出される。1人の男が遠くの方から真っ直ぐに歩いてくる。かなり近づいてくる!ふと立ち止まると男の足元に小さな炎が現れる。もう一方の画面では、水滴が男の頭上から落ちてくる。炎も水も激しくなり、いつの間にか男は消滅してしまう。

《ストッピング・マインド, The Stopping Mind(1991)》
大型スクリーンが部屋の4面に設置されている。部屋の中央に立つと囲まれる感じ。スクリーンには、時の止まった映像が映し出されている。が、突然、轟音とともに気まぐれに動き出す。お経のような囁き声が絶え間なく流れている。

《ラフト/漂流, The Raft(2004)》
19人の男女。人種も年齢も異なる人々。突然大量の水が、彼らをめがけてホースから放たれる。みんな水の圧倒的な力で倒されていく。放水が止まると人々は安堵と焦燥の表情で立ちつくす。この映像がスローモーションで展開される。

会   期: 2006年10月14日(土) ~2007年01月08日(月・祝)
開館時間: 10:00 ~22:00 | 火10:00~17:00
会   場: 森美術館 六本木ヒルズ森タワー53階
主   催: 森美術館、朝日新聞社
助   成: アメリカ大使館

コメント

_ すん ― 2006/12/30 23:55

トラックバックありがとうございます^^同じ作品を見た人の日記が読めて参考になったしまたいろいろ考えさせられました^^

_ raccoon ― 2006/12/31 21:08

すんさんコメントありがとうございます。
少しでも参考になったら嬉しいです。
また遊びに来てください。

_ ジョヴァンニ・スキアリ ― 2007/01/04 22:53

TBありがとうございました。お返事が遅れてすみません。このジャンルは未知の世界でしたが、面白そうなのでもっと作品を観て楽しさを倍加させたいです。今後も参考にさせて戴きますのでよろしく。

_ raccoon ― 2007/01/06 22:48

ジョヴァンニさんコメントありがとうございました。
映像アートの世界も奥が深いんですよね。
こちらこそよろしくお願いします。

_ 自由なランナー ― 2007/01/11 19:29

こんにちは。
拙ブログにコメントありがとうございました。
おっしゃるとり、負のエネルギーを感じながら、見終わったあとは不快感が残るものではありませんでした。
印象に残る映像世界だったと思います。

_ raccoon ― 2007/01/25 00:59

自由なランナーさんコメントありがとうございました。
そうですね、印象的な作品がたくさんありました。
また遊びにいらしてください。

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_ Beautiful Noise - 2007/01/07 22:44

 森美術館は東京の家から30分ほどでいけるのですが、足を運ぶ機会は多くはありません。どうもあの立派なミュージアムは苦手です。招待券をいただいた『ビル・ヴィオラ: はつゆめ』に閉幕直前にやっといってきました。(1月8日で終了)いまさらですが、兵庫にも巡回するようですし、感想を書いておきます。結論から先にいってしまうと、とても刺激的で、充実したものでした。
 


 ビデオアートをみてしばしば感じることは、その内容はともかく、表現する映像機器の使い方に無頓着なアーティストが少なくないことです。映像を映し出すのに、単に液晶プロジェクターでのスクリーンへの投影、という見せ方がとても多いように感じます。
 いまは、ナム・ジュン・パイクがビデオアートを作った時代とは違います。映像を表示する機器も、様々な選択肢があります。スクリーンにプロジェクター投影方式も液晶方式だけではありません。また、液晶、プラズマ両方式のフラットワイドディスプレイもあります。映像を撮影する方法も、フィルム撮影から、いまはビデオカメラでのハイビジョン方式での撮影が主流になっています。
 
 ビル・ヴィオラの映像展示では、最新の映像テクノロジーを充分に生かし、説得力のある映像表現を創り出していたことが、興味を引きました。
「ラフト/漂流」では、高速フィルム撮影を、ハイビジョンビデオに変換、これを明るさ1万ルーメンクラスのDLPプロジェクターで投影。最新の技術で、高速度フィルムの精細さを見事に再現。
「グリーティング」「アニマ」などではフラットワイドディスプレイが効果的に使われています。
 かたや、「ストッピング・マインド」と「ミレニアムの五天使」では、古い技術の三管方式のプロジェクターを使って、映像を表現。この三管方式プロジェクターは明るさの点では現在の液晶プロジェクターの何分の1のレベルで、国内メーカーでは何年も前に生産をやめているもの。明るさは充分でないものの、色の階調表現は卓抜していて、思わず引き込まれる映像世界を創っています。作家がこの機器での表現にこだわったのでしょうか。

 展示されている作品の中で、いちばん気に入ったのは「ベール」。スクリーンとして等間隔9枚の布を下げ、そこに両側からプロジェクターで違った映像を投影する手法の作品。みる角度、位置によって様々な幻想的な映像が繰り広げられます。

 最新の映像テクノロジーを駆使し、投影される映像は、夢ともうつつとも違う世界。魅力的なビル・ヴィオラの世界です。