カラフルメリィでオハヨ ~いつもの軽い致命傷の朝~2006/08/21 23:31

GOOD MORNING with COLORFUL MERRY
今年の4月に、下北の本多劇場で公演されたNYLON100℃、ケラリーノ・サンドロヴィッチの作品。今頃になってですが、ご紹介を。

9年ぶり!4回目!の公演だからすごい。

激しく笑って、そして最後に暖かい涙がこぼれてしまった。何故だろう?人生の滑稽さというか、それ故に感じる貴重さというか。きっと僕がこう感じてここに文字を書いているような、その感動を感じたのだろう。

ただ、僕にはストーリーを追いかけて、作品を味わうのが結構大変だった。時間軸を掴むのが結構難しい。それでも、最後の歌を聞くと、じわーっと熱いものがこみ上げてくるんだけどね。

でもでも、もっと知りたいと思って2回見に行った。いやーそれだけの価値は十分にありました!

山崎一さん演じるおじいちゃん、大倉孝二さん演じるお父さん、三上市郎さん演じる医者。その個性がすごく、ありえないほど強調されてていい。
ドリフのようなコント!?が前面に出ているんだけど、その背後にちゃんと伝えたいものが込められていると思う。「生きる」という事。

”人生はおそろしい冗談みたいなもの”
それをこれだけやわらか~く伝えることができるのはさすがケラの力なのだろう。僕はこの演劇見れて本当によかったです。また再公演あるといいな。


物語(パンフレットより)
 みのすけ少年は窓のない病院にいた。耳を澄ますと、波の音が聞こえる。どうやら近くには海があるらしい。なぜ自分がここにいるのか、その理由はわからない。毎日、窓のない病室で、みのすけ少年は祖父のことを思い出していた。
 ある日みのすけ少年は、同じ病院の仲間である丸星、杉田、岬、宝田、品川先輩と供に、脱出計画を企てる。ひとつの病室に集まり、思い思いに脱出計画の作戦を発表していくが、集中力と持続力がまったくない彼らの意見がまとまるはずもなく、作戦会議はあらぬ方向へ……。
 そしていよいよ、脱出計画を実行に移すときがやってくる。あらゆる方法を使って脱出を阻止しようとする医者と看護婦たち。何度も捕まりそうになりながらもピンチを乗り越え、ついに海岸にたどり着いたみのすけ少年と仲間たちは思わず叫んだ。「海だ!俺たちは自由だぞ!」
 舞台は変わって、どこにでもありそうなごく普通の家庭。ボケはじめてしまった祖父と、その息子夫婦、高校生の娘、医大を目指して浪人中の居候が同居している。家族は、奇妙な言動を繰り返す祖父の存在をもてあましていた。ボケが進行していく祖父、なにやら悩んでいる様子の娘、それを心配する息子夫婦、受験勉強などする気のないふてぶてしい態度の居候。それぞれが、悩みや不安を抱えながら、めまぐるしく毎日を過ごしていた。
 祖父は、ときどき目をつむったまま動かないことがある。そして、実際には聞こえないはずの波の音に耳を傾けながら、こうつぶやくのだ。「早くこの病院から出してくれないか……。ここにはいないみたいなんだよ、彼女は……」。変わり果てた父親の姿を見て嗚咽する息子。そんな家族の様子を見つめる、みのすけ少年。
 みのすけ少年と仲間たちが脱出の末たどり着いたのは、目指していた海だったのか。祖父がつぶやいた言葉の意味とは。まったく違う時間軸で進むふたつのストーリーが少しずつリンクし始め、やがてひとつの結末へとむかっていく……・。