メゾン・ド・ヒミコ2006/10/09 00:01

映画館で見てい依頼もう一度みたいと思ってたメゾン・ド・ヒミコを借りてきた。

やっぱりいい映画だ。張り詰めるような緊張感とそれを一気に揉み解すようなコメディタッチの映像。でも、特にストーリーを壊さない絶妙なバランス。むしろ、アイロニーを感じさせるような組み込み方とでもいうべきか。

この映画のテーマって何だろう?って考えてみるとこれが結構難しく。。。「欲望」と「愛」というものだろうか。

海の近くのゲイのための老人ホームでドラマが繰り広げられる。海というのはなぜかこう心を表すのに非常に有効だ。穏やかな気持ちや不安を空の表情とともに表す。

卑弥呼の死を目前にした春彦の心情の揺らぎが面白い。「欲望が欲しいんだよ」という台詞に込められた生きるという事の意味。

父が死を目前に娘に伝えたことば、「貴方が、好きよ」。

沙織が流した涙の理由。

断片的なシーンが僕のなかで組み合わされていく。

忌み嫌い、その存在すら否定していた父への感情が沙織のなかでどう変わったのだろうか?それは春彦との出会いそして愛(と呼べるもの?)で起きた化学変化なのか。

沙織は春彦に対して抱いてしまった恋愛感情に、それを抱いた自分自身に嫌悪感を持ったのだろうか?それは父を認める事になるような気がするから。

届かないという思いから、現実を造られた虚像と思い込み、そこに存在することを否定してしまう。逃げてしまう。

それでも、その想いを抑えることはできず、それ故に父の遺品をすべて引き取る事で、秘めたる想いを持ち続けることを選ぼうとしたのかもしれない。

あなたを愛することはとても苦悩に満ちたもので、それでも、安らぎと幸福を与えてくれるあなたを愛する事を選ぶでしょう。そんな風に感じました。

田中泯の存在感、柴咲コウの普通さ、オダギリジョーの中性感という役者さんの演技もすばらしい映画でした。

ストーリー(公式HPより)
塗装会社の事務員として働く吉田沙織、24歳。
ある事情で借金を抱え、夜はコンビニでもバイトをしているが、
いっそ風俗で働こうかと思い悩んでいる。

ある雨の日、彼女のもとに若くて美しい男が訪ねてくる。
名前は岸本春彦。
彼は、沙織が幼い頃に沙織と母親を捨てて出ていった父の恋人だった。

沙織の父・吉田照男は妻子のもとを離れた後、ゲイバー「卑弥呼」の二代目を継いだが、
今は神奈川大浦海岸近くにゲイのための老人ホームを創設、その館長を務めているらしい。

春彦は、その父が癌で余命幾ばくもないと言い、ホームを手伝わないかと誘う。
父を嫌い、その存在さえも否定して生きてきた沙織だが、
破格の日給と遺産をちらつかされて、老人ホームの手伝いに行くことを決意する。

翌日曜の朝、沙織はおそるおそるホームの門をくぐる。

「メゾン・ド・ヒミコ」 ゲイのための老人ホーム
賑やかで、哀しくて、温かな場所。

春彦は驚き喜んでホームのなかへ沙織を導き、老人たちも明るく迎える。

しかし、卑弥呼は娘との予期せぬ再会に戸惑い、
沙織はその場所すべてに嫌悪感を抱くのだった。

死にいく父親―

その父親を愛する春彦―

そんな二人を見つめる沙織―

理解し会えるはずのない彼らに
いつしか微妙で不思議な関係が芽生えていく・・・・。

監督:犬童 一心
脚本:渡辺 あや
出演:オダギリジョー、柴咲 コウ、田中 泯
配給:アスミック・エース

   

コメント

_ kino ― 2006/10/22 00:13

お伺いするのが遅くなってすみませんでした。
TBありがとうございました。
この映画は、なんだか不思議な空気に満ちた、
切ない気持ちになる映画でした。
オダギリジョーの色っぽさにやられました・・・。
もちろん、田中さんの佇まいにも。

_ raccoon ― 2006/10/22 20:26

kinoさんコメントありがとうございました。
楽しいシ~ンからも切なさを感じるんですよね。
確かにオダギリジョーは色っぽかったですね。

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_ アロハ坊主の日がな一日 - 2006/10/09 00:23

映画[ メゾン・ド・ヒミコ ]@渋谷で鑑賞。


監督犬童一心、脚本渡辺あやの前作[ ジョゼと虎と魚たち ]
を観たら、これを観ないわけにはいかない。そうすると、
もう比べないわけにはいかない。作品としてもそうだし、
キャストもそう。前作『ジョゼ』は妻夫木聡・池脇千鶴で、
今回は オダギリジョー・柴咲コウと、どちれも売れっ子の
若手俳優男女をキャスティング。これも比べざるを得ない。
そして、その中でも見比べちゃうのはメインである女性。
やっぱ、うまさが光るのは、池脇千鶴嬢だね。柴咲嬢は、
他の作品での演技と変わらない。たぶん、地のままだろう。
この作品には、マッチしていたと思うけど・・・。


_ 京の昼寝〜♪ - 2006/10/09 01:01

私を迎えに来たのは、若くて美しい男。彼は、父の恋人だった。
■監督 犬童一心■脚本 渡辺あや■キャスト オダギリジョー、柴咲コウ、田中泯、歌澤寅右衛門、青山吉良、柳澤愼一、井上博一、森山潤久、洋ちゃん、西島秀俊、高橋昌也、大河内 浩、□オフィシャルHP  http://www.himiko-movie.com/ 借金を抱え、昼夜働き、恋人もいない娘沙織。 そんな彼女の元にある日美しい男春彦が訪ねてくる。 彼女の父はゲイでゲイのための老人ホームを作った。 春彦は父の恋人だった・・・。 その老人ホームで働いてみないかと春彦に誘われ沙織は「メゾン・ド・ヒミコ」の門をくぐる。おススメ度 ⇒★★★ (5★満点、☆は0.5) cyazの満足度⇒★★★★  なんだか不思議な感覚の映画でした。 それはゲイの世界がどういうものかわからないせいもあるかもしれませんが、でもそんなことは関係なく、やや別世界に身をおいた各々の登場人物の人間模様の局面を、この映画は鋭い視点と柔らかいわかりやすい表現で描いた作品には違いありませんでした。  ゲイの父に母と自分を捨てられ、借金を抱えながら昼夜働きどうしで苦労してきて、怨んでいたその父も癌で死期が近づいていることに心の置き場のない娘・沙織を柴咲コウは上手に演じている。 また不思議な魅力の父の恋人・晴彦にもにも近からず遠からずで、容易に受け入れることができない今の状況と閉ざした心をどうすることもなく、彼の誘いで父が買った「メゾン・ド・ヒミコ」(元ラブホテル)を訪ね、そこで生活するゲイたちとの生活の中で徐々に心を開いていく。 認めたくはないけれど、心のどこかで受け入れていく反面、父親にはなかなか心を開けない。 微妙な心の動きを無表情ながら演じていく柴崎コウは今までと違った演技の形を表現して見せた。  オダギリジョーも決して上手な役者ではないが、こういう微妙な演技は上手だなぁと感じる。 まして今回はゲイの世界。 彼にも未知な世界かもしれない。 男であって男を愛す。 沙織と接触し、互いが少しずつ距離を縮めて行く中で、彼女を愛そうとするが、その想いも逆に自分の本当の姿、心を再確認することになってしまう。 何が年上の男を愛せたのかはよくわからないが、少なくてもこの映画での彼は、柴崎コウ以上に演技の幅を広げたことは事実だと思う。 他のゲイの人たちとの

_ 平気の平左 - 2006/10/09 01:02

評価:80点{/fuki_love/}

メゾン・ド・ヒミコ


実は犬童一心監督の作品は初体験だったのですが、かなりよかったです。

とは言っても、この映画について、自分でも消化できていない部分も多いですし、一般受けするかはよくわかりません。

見所も沢山ありますので、どこが心に残るかは人それぞれでしょう。

公式サイトで、犬童監督が言っていた様に「言葉にするのが難しい」映画かもしれません。

是非、観てそれぞれの人が言葉にしてもらいたい作品ですね。


この映画は、「ゲイ」ということを細かく丁寧に描いていますが、私が一番心を打たれたのは、「父娘愛」でした。

ちょっと泣いてしまいましたし。



役者もいいです。

登場シーンは多くありませんが、田中泯の存在感はすごいと思います。

彼なしでは、この映画は成り立たなかったでしょう。

「ぶすっとしたブス」を演じている柴咲コウもいいですね。

しかし、あの人がブスだったら、美人は絶滅危惧種ですよ。

チャイナドレスを着たところはすごい綺麗だったし。

正確に形容すると、ぶすっとした化粧してない人だと思いますけどね

オダギリジョーも、美しく若いゲイと言ったら、彼しかいないような気になります。

ルビーを演じた歌澤寅右衛門も、存在感が濃い。

っていうか、全体的にゲイの人たちは存在感が濃すぎです。

あ、そういえば、運命じゃない人で主役を演じた、中村靖日も出ていましたが、やっぱり「いい人」でした。



映画ならではの「嘘」もよかったです。

いきなりゲイのじーさんたちが普通に踊りを踊るなよ、とかちょっと思いましたが、尾崎紀世彦の「また逢う日まで」に乗せて、みんなで踊るシーンはしっかりエンターテイメントしていて、楽しく見ることが出来ました。

「ピキピキピッキー」には笑ってしまいましたし。

これくらいのを「演出」と呼ぶのであって、容疑者 室井慎次の君塚監督はもっと考えてもらいたいですね。



音楽もいいですね。

細野晴臣のサントラ買うか迷います。



犬童一心監督に興味が出てきたので、「ジョゼと虎と魚たち」も観てみようかなぁ・・・

10日公開の「タッチ」も観る気が全くなかったのですが、迷ってしまいますね。

でも、「タッチ」はあの名作を2時間で上手く表現できるとは思えないしなぁ・・・


以下、ネタバレあり

_ まったりインドア系 - 2006/10/09 01:43

前々から楽しみにしていた『メゾン・ド・ヒミコ』を見た。「メゾン・ド・ヒミコ」とは、元高級ゲイ・バーのママ“ヒミコ(田中泯)”が開いた、ゲイのための老人ホームのこと。このヒミコの若い愛人・春彦(オダギリジョー)が、ヒミコの実の娘・沙織(柴咲コウ)を迎えにくるところから物語は始まる。ヒミコはゲイ・バーを経営する前は、実は女性と結婚して子供をもうけていたのだけれどけっきょく妻子を捨てて奔放に生きてきた。しかし末期ガンを患い、余命がわずかとなった“彼女”の面倒をみてほしい、と春彦は沙織に請う。沙織は家庭を顧みなかった“父”を当然、恨み続けているのだが、お金のために春彦と契約を結んでホームを訪れる・・・・・・というのが、あらすじ。「ゲイの老人ホーム」という一見特殊な舞台設定だけれど、描かれているテーマはとてもシンプルで普遍的だと私は思う。それは「人とつながりたいのに、つながれない、もどかしさと哀しみ」で、同性愛者も異性愛者も関係なく、すべての人が抱えている問題だから。世間の偏見から、かばい合うように“擬似家族”を演じるホームの住人たちに対して、沙織が「こんなのインチキじゃん!」と糾弾し、逆に春彦から「おまえには関係ない。出てけ」と言い返される場面がある。これは見ていて、本当に切なかった。どうして人間は心にもないことを言って、大切な人も自分も傷つけてしまうんだろう。春彦と沙織の間、そして沙織とホームの住人たちの間には、愛情とも友情ともとれる感情が確かに芽生えてきているのに・・・・・・。私が映画の中で好きなシーンは3つ。どれも、仏頂面で攻撃的な沙織の表情が、思わず崩れる瞬間だ。1つ目は、ダンス・ホールでみんなが輪になって踊る幸福なシーン。2つ目は、怒りと憎しみをぶつける沙織に、ヒミコが返すシンプルな一言。3つ目は、春彦が別れ際、沙織に言う「愛の告白」。特に最後のシーンで、沙織が、化粧っ気のない顔をくしゃくしゃにして泣くシーンは忘れられない。柴咲コウちゃん、オダギリジョーともに名演だ。

_ 映画大好き☆ - 2006/10/09 22:00

メゾン・ド・ヒミコ 特別版 (初回限定生産)メゾン・ド・ヒミコ 通常版

監督 : 犬童一心
出演 : オダギリ ジョー , 柴咲コウ , 田中泯 , 西島秀俊
脚本 : 渡辺あや
音楽 : 細野晴臣
収録時間 : 131分


【story】
『ジョゼと虎と魚たち』に続く、犬童....

_ 気ままに映画日記☆ - 2006/10/10 00:05

建設会社に勤める沙織(柴崎コウ)は事情により借金があり、生活が苦しい。昼休みに雑誌の風俗のアルバイトを見てためいきをついていた。 そこに、春彦(オアダギリジョー)がやってくる。彼は、沙織と母親を捨ててゲイバーのママになってしまった父親ヒミコ(田中泯)の恋..

_ やっぱり邦画好き… - 2006/10/11 11:53




映画 『 メゾン・ド・ヒミコ
 』


2005年:日本 【8月27日ロードショー】 [ 上映劇場

監 督:犬童一心
脚 本:渡辺あや
音 楽:細野晴臣

[ キャスト ]
オダギリジョー (春彦)
柴咲コウ (沙織)
田中泯 (卑弥呼)
西島秀俊 (細川専務)
歌澤寅右衛門 (ルビイ)
青山吉良 (山崎)
柳澤愼一 (政木)
井上博一 (高尾)
森山潤久 (木嶋)
洋ちゃん (キクエ)
村上大樹 (チャービー)
高橋昌也 (半田)
大河内浩 (ダンスホールの中年男)
中村靖日 (ダンスホールの若い男)
村石千春 (エリナ)
久保麻衣子 (昌子)
田辺季正 (淳也)

涙 は き っ と 暖 か い


私を迎えに来たのは、若くて美しい男。
彼は父の恋人だった

ゲイである父を嫌い、その存在さえも否定して生きてきた沙織。
ある雨の日、彼女のもとに春彦という男が訪れてくる。
彼は、沙織の父・卑弥呼が癌で死期が近いと言い
父の営むホームを手伝わないかと誘う。
"メゾン・ド・ヒミコ" − ゲイのための老人ホーム −
彼らはここで出会い、いつしか微妙で不思議な関係が芽生えていく……。

先日、試写会で観てきた、映画『タッチ』、そして『ジョゼと虎と魚たち』の犬童一心監督の作品です。脚本はジョゼと同じく渡辺あやさん。
27日は残念ながら容疑者室井とNANAの試写会なので、初日は観れませんが「サヨナラCOLOR」と、この「メゾン・ド・ヒミコ」は早いうちに観てこようと思っています。オダギリジョーは忙しいですね。この後に「忍」「スクラップ・ヘブン」等の公開が控えています。柴崎コウさんは、この映画の中ではメイクダウンだそうです。
メゾン・ド・ヒミコは伊豆・御前崎の元レストランみたいで、美しい映像が楽しめそうです。
映画情報誌によると、物語的には特別にドラマティックな展開や予想を裏切るハラハラとした結末は用意されていないということですが、きっと人間という生き物が好きになれるかも… そんな作品みたいです。





そして念願?叶ってやっと観てきました。。
感想ですが、、
不思議な良さがありました。
特にインパクトもなく、あっ!という、どんでん返しもなく
淡々と…?
でも、観終わって満足感がある映画でした。
犬童監督は、観ている者に不思議な満足感を与えるのが
上手いなぁ…と思いました。
何がイイのか帰り道に頭を整理してみたんですが、
この映画の物語の設定は、ごくごく普通の私からすれば
本当は違和感を感じていいはずなんですが、まったく感じない…。
多分、『 自然体 』?というんでしょうか…
無理なストーリー構成だと感じさせることもなく、キャストの
方々の演技も、もしかしたら台本が無いのでは?と思わせて
くれるくらい自然体な演技で、がんばって演技していますって
いうのが感じないくらい良いのです
だからといって、とても感動した!という映画でもなく、
観ているこちらも自然体でいられた…
そういう映画のように思えました。

実は、この映画を観た後、「サヨナラCOLOR」も観たんですが
失敗でした。何が失敗なのかというと
観る順序を逆にすれば「サヨナラCOLR」も、多分もっと良く感じた
のでしょうが、あまりにもメゾン・ド・ヒミコの自然体な感じが残っていて、
サヨナラの方がストーリー的には馴染み易いのでしょうが、
全体的に違和感を感じてしまいました。
サヨナラCOLORも良かったんですよ!
(後ほど感想をUPいたします)

メゾン・ド・ヒミコのオダギリジョー、柴咲コウ、その他の俳優の方々
良かったです。


ヒミコのオダギリは美しかったと思う、やっぱり邦画好き…デシタ。
(2005-09-10)




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_ Swing des Spoutniks - 2006/10/14 13:25

『メゾン・ド・ヒミコ』公式サイト
監督:犬童一心出演:オダギリジョー 柴咲コウ 田中泯
【あらすじ】(goo映画より)わけあって借金を抱えてしまい、昼はしがない会社の事務員、夜はコンビニのバイトをして働く24歳の沙織は、いっそ風俗ででも働こうかと思い悩んでいる...

_ ひとりごと - 2006/10/16 23:38

塗装店で事務員として働く冴えない沙織の前に、若く美しい男が現れる。岸本と名乗るその男は、かつて自分と母親を捨てたゲイの父親・卑弥呼の恋人だった。岸本は、卑弥呼が癌に侵され死期が近いことを告げる。そして、父が営むゲイのための老人ホームで働かないか、と沙織を誘うが・・・。


淡々としてるけど、重い。
冷たいようで、温かい。
ありえないようで、限りなくリアル。
どのシーンが一番印象に残ったか、と聞かれても、はっきり「コレ」とは言えない。あらゆるシーンが、俳優達の表情が、写真のようにくっきりと頭に焼き付いている感じ。とても印象的なセリフが多く、ドキッとさせられることも多かった。
父と子、男と女、男と男。控えめに語られる様々な人間ドラマ。控えめなところが巧い。過剰じゃないから、こういう雰囲気が出せる。
むー、感想を述べるのが難しい映画だなあ。ただ、単純に好きか嫌いかと聞かれたら、好きです。


ゲイのための老人ホーム、「メゾン・ド・ヒミコ」。
老人ホームとは名ばかりで、ここの住人は介護を受けるほど年老いているわけでもなく、自分の世話は自分で出来ている。というか、働きたがる人もいないのだろう。こういうところはパトロンでもいなければ、どこからも援助を受けられない。近所の人からは白い目で見られ、子供達からはバカにされている。好奇心半分、嫌悪感半分といったところか。

沙織もそうだった。借金返済のため渋々ここで働くことにしたものの、独特のテンションになじめずにいる。
しかし、住人達は基本的に来る者拒まずって感じ。
周りの冷たい視線、偏見、あからさまな嫌悪。ゲイを扱った映画ではよく見られることだ。いろんな辛いことを経験してきているハズの彼らなのに、すさんでいるところは微塵もなく、どこか諦観している。傷ついた自分を守るためなのか、極端に明るい。むしろ沙織のほうが全然すさんでいる。
しかし、彼らの優しい人柄が、沙織を少しずつだが変えていく。
そして明らかになる、沙織も知らなかった卑弥呼と死んだ母親との不思議な絆。

この映画が終わった後も、彼らの日常は大して変わらないと思う。同じように淡々とした毎日が過ぎ、沙織は時々はホームを手伝いながら、借金を返済すべく細々と事務の仕事も続けていくのだろう。
卑弥呼が死ぬ間際に娘に残した、「あなたがすきよ」という言葉。
沙織は一体どんな気持ちで聞いたの

_ 目の中のリンゴ - 2006/10/22 00:33

観てから一週間たっても まだこの映画のシーンや台詞を思い出して
切なくなっています。
前回の記事
いろんな方の感想やコメントを読ませていただいているうちに
書き足りなかったことを もうちょっと書きたくなったので
感想のパート2を書いてみることに。

(この映画は、大島弓子さんの漫画が元になっているというから、
それを読むと手っ取り早いのかもしれませんが、
私は読んだことないので、その辺のことはおいといてください。)

この映画の持つ空気がすごく好きなのは、
私の好きな小説の「きらきらひかる」(江國香織)や
「キッチン」(吉本ばなな)を思い出すからかもしれません。
どちらもゲイの登場人物が出てくるから、という安易な連想では
ないとは思うんだけど・・・ははは。

「キッチン」では、女装の父親が出てきたり、
生と死が色濃く漂う世界で、孤独な人たちが寄り添う物語。
ここでも、美味しそうなカツ丼のシーンが印象的で
食べることは生きることなのだなーと思えてしまう。
「きらきらひかる」では、ゲイの男性と結婚した、
アル中で情緒不安定な女性が、夫の恋人たちと
奇妙な繋がりを築いていく物語。
彼女は、同性愛者の夫たちを、
”銀色のライオン”と言う。アルビノで草食のライオンがいて、
彼らは短命で、ライオン社会から排除されて、銀色の仲間たちと
共同体を作って孤独にけなげに暮らしている・・・らしい。
”メドン・ド・ヒミコ”の彼らみたいじゃないですか?

卑弥呼を演じた田中泯さんのことは全然知らなかったのですが、
先日”めざましテレビ”の”広人苑”で紹介されていたのを観ました。
素顔は、一見その辺にいそうな、気難しげなオジサマ。
舞踊家、と聞いていたのですが、その前衛的なパフォーマンスに
呆気にとられてしまいました。不思議なムードを持った人です。
つくづく、卑弥呼はハマリ役だったなぁと思いました。

その卑弥呼、あいりさんの感想を読ませていただいて、
ポン!!と膝を打ってしまったのですが、
「プリシラ」のテレンス・スタンプに似ているのです!
あの 凛とした気高さ、背筋の伸びた佇まい、人生の重み・・・。
ブログで「プリシラ」のこと語ったこともありますが、(コチラ)
これも私の大好きな映画。
”落書き”も、この映画を思わせるところがあります。
未見の方、是非観てみてください!!

ちょっと考えた

_ 試行錯誤 - 2006/11/13 17:34

主要人物は、癌に冒され余命僅かの父親、その恋人の若く美しい青年、母と自分を捨てた父親を嫌っている娘。ゲイの父親がゲイのために建てた老人ホームで、父親の恋人に頼まれてアルバイトをする娘が主人公。

メゾン・ド

_ 映画、言いたい放題! - 2007/06/26 12:45

話題になったこの作品。
賛否両論ですね。
DVDで鑑賞。

3年前に亡くなった母親の入院費で借金を抱え、
塗装会社で事務員をしている24歳の沙織の元に
ある日、沙織の父親の恋人であるという美しい青年・春彦が訪ねてくる。
沙織はゲイである事を告白し家族の元を去った父・

_ いけこのDVD鑑賞記 - 2008/12/10 03:11

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2005年 / 日本 / 131 minutes
出演 : オダギリジョー��...